乳児股関節健診，精査における問題点

摘要

股関節精査，脱臼治療を目的に当科を受診した118例を対象に，健診から当科受診まで の経過を調査した.症例の内訳は股関節脱臼19例'亜脱臼4例，臼蓋形成不全28例，開排制限16 例および正常51例であつた.整形外科の受診契機は健診が93例，保護者の希望が25例であつた. 健診で精査を指示された時期は3-4か月以前が84例，6-7か月以降が9例であつた.健診で股関 節脱臼が発見されなかったのは4例であった.このうち，健診で大腿皮溝非対称を訴えたことのあ るものが3例で，うち2例は歩行獲得後に脱臼が発見された.当科以外の整形外科で精査を受けた 12例のうち，精査の診断が不適切であつたのは4例であった.精査要否の基準を開排制限のみでは なく，複数の股関節所見と家族歴，出生歴からなるものに変更し，精査を担当する医師を限定することで脱臼発見率が向上することを期待したい.