FBTS法によるコンクリート中の空洞探査における入射パルスの影響

摘要

本論文では，表面が滑らかなコンクリート中の空洞探査について議論している．3次元の問題を2次元問題で取り扱うことができるように，観測界から直達波と表面反射波を取り除いた電界を利用して汎関数を定義している．また，実験で使用するビバルディアンテナの周波数特性を考慮して，1.8GHzの中心周波数をもつ入射波を用いて再構成した結果，空洞の上部は再構成できるが空洞全体を再構成することはできなかった．そこで，入射電流源の形状や中心周波数に対する再構成画像の影響について議論し，中心周波数が約0.5GHzのサインモノパルスを用いることで，再構成画像が大きく改善できることを明らかにしている．さらに，再構成の途中で中心周波数を高周波側に移動することにより，再構成画像の虚像を取り除くことができることを示している．なお，本論文では観測界としてFDTD法による数値シミュレーション値を利用している。