RNAの安定性を指標にして機能不明な長鎖ノンコーディングRNAの性質を定義する

摘要

21世紀に入って行われた大規模なトランスクリプトーム解析により,ヒトやマウスにおいてゲノムDNAの大部分がRNAへ転写されており,転写されたRNA群の約半分がタンパク質をコードしていない,いわゆるノンコーディングRNA(ncRNA)であることが明らかとなった.これらのncRNAの中でも,長さが20?30塩基の短鎖ncRNAについては,これまでに詳細な解析が行われており,その機能や動態の理解はかなり進んでいる.一方,長さが数百から数千塩基に及ぶ"長鎖ncRNA"については,その機能は長らく不明であったが,ようやく個々の長鎖ncRNAの機能解析の結果が報告されるようになり,ぼんやりとではあるが長鎖ncRNAが細胞内で果たしている機能がわかるようになってきた~(1))．しかしながら,少なくとも1,000種以上は存在するとされている長鎖ncRNAの一端が見えてきただけであり,依然としてその大部分が機能不明である.したがって,膨大な長鎖ncRNAのリストから"機能性長鎖ncRNA"を検索する革新的な指標が望まれていた.