RhoA/Rho-キナーゼによる細胞遊走·細胞極性制御機構

摘要

細胞は固着の機能を果たすため，高度に極性化している．細胞極性形成を制御する鍵となるタンパク賀複合体としてPar3，Par6，aPKCにより構成されるPar複合体が知られている．Par複合体は線虫を用いた遺伝学的解析により細胞の非対称分裂に関わる遺伝子として同定された．Par複合体は線虫から晴乳類まで高度に保存されており，神経細胞の軸索·樹状突起の運命決定，上皮細胞の極性形成，幹細胞の不等分裂，細胞遊走など，細胞極性において本質的な役割を果たしていることが知られている1）．極性化した細胞の遊走は，舶織の形成，創傷治癒，病態の進展などにきわめて重要な役割を果たす2）．遊走細胞の極性とは進行方向に対する細胞の前後軸のことである．