生合成経路を模倣した骨格多様化合成-ニチニチソウに学ぶアルカロイド骨格のつくり分け

摘要

薬理活性分子や機能性材料の探索源となるケミカルライブ ラリーの合成では,一般に芳香族の構築ブロックが用いられ, それらを連結する組合せや置換基を多様化し,さまざまな種 類の化合物群を創製する.そのため,おもにsp~2炭素で構成 される平板な形状の化合物群が供給され,三次元的な分子骨 格のバリエーションは限られている.一方,強力な生理活 性を発現する天然物群は,多くのsp~3炭素やさまざまな官能 基が組み込まれた縮環構造をもち,骨格の多様性に富んでい る.固有の空間配置で骨格に組み込まれた官能基の多点相互 作用により,特異性の高い分子認識が可能となり,副作用の 少ない医薬品として応用されている.ただし,複雑な構造の 天然物では,化学合成の労力と効率が研究開発や実用化の障 壁となっている.