海洋深層水利用によるべニズワイの脱皮·成長の解明

摘要

べニズワィChionoecetes japonicusは，主に日本海，オホーツク海ならびに銚子以北の太平洋に分布し，日本海では水深およそ400～2,700 mに分布する深海性の甲殻類である 。農林水産省令により，すべてのメスと甲幅9cm以下のオスの漁獲が禁止されており，オスは甲幅15cm程度にまで成長する。日本海各地において主にかにかごを用いた漁業が行われており，日本海の本州沿岸に水揚げされた2009年の漁獲量（わが国の排他的経済水域内における漁獲のみ）は 15,825トンとなっており，重要な水産資源である。このべニズワイを対象としたかごなわ漁法は，1962年に富山県魚津市の漁業者により考案されたものであり，富山県とべニズワィ漁業にはその成り立ちから深い結びつきがある。