逐次構造相転移を伴う六方晶ABX3型化合物の磁性，誘電性および複合物性

摘要

六方晶ABX3型三角格子磁性体を対象にスヒソ·フラストレーションと磁性の関わりを課題にする研究が，わが国の研究者の多大な寄与により理論，実験両面からなされて久しいト4）．そのヰで一つの切り口として，フラストレーションの山部解消が相転移や臨界現象に与える影響を確か獲る研究も進められていた．フラストレーション仁解消法には，三角格子面に沿って一軸性圧力や電場を印加することで磁性イオンの正三角形配列を歪ませ，スピン間の相互作用を非等価にする手法が思い浮かぶ．第1図にその解消法の概念図を示す．しかし，それらの作業は容易でなく，代わって，結晶構造相転移に伴う格子歪みに着目して反強磁性秩序を調べる先駆的研究がRbFeBrに対して行われた6）．この物質は第1図（b）のように磁気モ一メソトの自由度が三角格子面内に限定されるズyスピン系と特徴づけられるため，秩序構造は三角格子上のスピンが互いに妥協して配向する1200スピン構造の単一相になると予想され.