複合界面活性剤液晶を鋳型とする白金ナノチューブの合成

摘要

白金は，耐食性や耐熱性，電気特性に優れ，るつぼ，熱電対，電極材などの工業材料として古くから利用されてきた．一方，ナノ粒子状の白金は代表的な触媒材料であり，石油精製，石油化学，自動車?工場排ガス浄化，医薬·油脂製造などの分野で広く用いられている．燃料電池の触媒としても使用される．白金触媒は，一般に，シリカ，アルミナ，活性炭などに，金属塩水溶液の含浸，イオン交換などによって金属成分を導入したのち，焼成，水素還元などの処理を行うことにより調製される．すなわち，白金触媒は，固体担体の表面に白金粒子を担持した複合粒子として反応に使われ，たとえば，テトラアンミソジクロP白金を原料としてゼオライトに担持した場合の白金粒子の粒径は，空気焼成で6nm，真空焼成では1nm以下である．また一般に，反応に関与する粒子表面積が大きいぼど反応効率は増すが，対象とする反応によってほ，粒子サイズが小さくなり過ぎると触媒活性がかえって低下する場合もある。白金の触媒特性は，このように，担持された白金微粒子の大きさによって顕著に変化するはかりでなく，結晶面の種叛，担体の種輝などにも依存する．このため，白金触媒の実際の調製過程では，上記の一般的な方法に様々な工夫が施されるが，さらに近年，ナノテクノロジーの手法で新規の形態をもつ白金触媒や白金電極を合成する研究にも関心が集まっている．