第2報告財産区を核とした天然林利用と山村振興－山形県飯豊町中津川財産区を事例として－

摘要

財産区は、1889年施行の町村制時に新しく導入された制度であるが、今日の財産区は、1954年改正地方自治法下に位置づけられるいわゆる新財産区をいう。財産区には、山林、墓地、用水路?湖沼、宅地、田畑などが含まれ、そのうち山林に区分される財産区は全財産区のおおよそ6割近くを占める～（1））。ところで、財産区について、2000年センサスでは、1ha以上め山林を保有する財産区は639、面積は9万haが抽出されたが、2005年センサスでは、「林業事業体＋林業サービス事業体」を「林業経営体」に変更する過程で統計表章が大幅に変更され、財産区を含む公有区分が統合されたため、財産区は、都道府県、市区町村とともに「地方公共団体?財産区」として一括りにされてしまった。このため、林業経営体としての財産区独自の性格が捉えにくくなっていることをまずお断りしておきたい～（2））。