不凍タンパク質

摘要

「ある種の魚類は，なぜ水温－1.7℃の冬の北極海に生息できるのか？ 」この疑問は今から45年ほど前に北米のScholanderらによって初めて学会に投げかけられた．それから約10年を経た1969年に，凍結温度域において細胞内に生成する氷結晶の表面に特異的に結合してその成長を食い止め，観級の凍結から身を守る生体防御物質，すなわち杯凍タンパク質（antifreeze protein; AFP）」が南極海に生息するノトセニア科の魚類から初めて発見された封。 このときから現在まで，AFPに関する研究は，生物果物理乳化学，遺伝子工学，構造生物学などの広範な分野にまたがる多くの研究者によって行われてきか1，その＝r，小嶋方で，AFPを医療や豪華に応用する試みもさまざまに行われてきた. 北極や南極の魚だけがもっていると考えられがちなAFPであるが，実はワカサギなど日本の食卓に並ぶさまざまな魚にも豊富に含まれていることが我々の研究により明らかになってきた。