前号特集日本に侵入した外来種琵琶湖の外来魚問題?歴史と展望?

摘要

これまでの漁業には邪魔な生き物を排除する仕組みは不要だったが、有害外来魚に居つかれた今、そのこと自体が在来魚の衰退要因であるうえ、漁業の操業において、それらの混獲は作業効率を大いに低下させている。湖の恵みを享受するはずの漁業の現場に、邪魔者を排除する作業が半ば強制的に割り込んできている状況だ。このように苦悩にあえぐ漁業者に対して、最終目標である有害外来魚の根絶でなく低密度管理という中間目標を提示することは、将来への希望を挫きかねないとの不安もあるだろう。しかし、なかなか距離が縮まらない最終目標に代わる中間目標は、渋々ながらも辛うじて容認できる最低ラインとして、現実的な目標になりうる。そして、最終目標に到達するには、この段階が通過点のひとつになることを忘れてはならない。まずは、この通過点を目標に置き、それが達成された時点で、この段階が、対策としてまだまだ不満足な状態なのか、なんとか受忍できる状態なのかを評価したうえで、次の対策方針が具体性を伴って検討できるのではないだろうか。