気候変動が土砂災害に及ぼす影響

摘要

2004年，大型の白鳳がわが国に多数来襲し，水土砂災害や風倒木災害を各地に引き起こした。2005年には大分県竹田市で，時間降雨量はそれほど大きくないが，連続降雨量が過去最大の豪雨があり，比較的深い崩壊と流動性の高い土石流により土砂災害が発生した。 地球温暖化に関連して，雨の降り力に敏感な昨今であるが，これらの年には少々異常を感じさせる現象が続いた。 表1は国士交通省の資料から最近の土砂災害の発生件数と時間降雨量100mm以上の豪雨の発生回数を示したものである。 過去30年の期間を10年ずつ3つの期間に分けて示している。 この表から，最近10年間とそれ以前を比較すると，100mm以上の時間降雨量の年間生起回数が約2回から約5回に，土砂災害の年間発生件数が約800件から約1，200件に増加していることがわかる。 これらが地球温暖化と関係しているかどうかについては検討する必要があるが，降雨条件や土砂災害の発生がここ10年で変化しているということは，事実として認められるところである。