2ロール矯正における曲げの塑性率と繰り返し回数が真直性に与える影響－棒線における矯正と残留応力の研究 第3報

摘要

圧延棒線材を引き抜いたシャフトはプリンタ等の事務·複写機，精密機械，工作機械，自動車に用いられる．近年，機器の高機能·高性能化により，産業機械に使用されるシャフト材には厳しい真直性が求められている．例えば通径10mmのプリンタ用シャフトに要求される真直度は400mmスパンで振れ回り0.03mn以内である．これを曲率たで表示すると7.5×10{sup}(-7)/mm，また表層ひずみgで表すと3.8×10{sup}(-6)となる．さらに実際には大曲がり，小曲がり，ねじれが混合した複椎な曲がりを呈している．矯正加工の原理は被矯正材に繰返し曲げと曲げ戻しを施すことで材料の残留曲率および残留応力を低減することにある．すでに板材を対象とした（テンション）レベラーにおいては有限要素法（以下，FEM）により被矯正材の加工曲率や応力状態の解析が行われており，矯正加工の挙動が明らかとなりつつある．しかしながら一方で，棒線矯正においてロールプロフィールなどの加工条件と真直性の関係を三次元的に論じた研究はほとんどなく，二次元解析の結果を援用しているのが現状である．著者らは第一報では熱間圧延材の金属的·機械的性質と真直度について，第二報では初等解析により残留応力の観点から理想的なロールプロフィールを考察してきた．本報では加工工程をモデル化して三次元弾塑性FEMにより解析を行い2ロール矯正法の真直性に与える影響について詳細に検討したので，その結果を報告する．