電子ビーム溶接により接合したアルミニウム合金テーラードブランクの超塑性成形

摘要

超塑性成形は，材料の巨大延性を利用して複雑構造を一体化して成形することができ，軽量化と低コスト化を同時に実現できる有用な成形法である．そのため航空機を始めとし，多品種少量生産品を中心に広い工業分野に適用が進んでいる．一般に板材の超塑性ブロー成形は，張出し変形が主体となる成形であるため，成形形状に応じて，全域での板厚減少と同時に局所的な板厚の減少を生じる．特に航空機部品に関しては，成形品の板厚が所望の分布から大きく外れる場合，成形は可能であっても製品として使用するすることができない．そのため成形品の板厚分布の制御は，超塑性成形を適用するための重要な課題の一つとなっている．超塑性成形品の板厚分布を均一化する方法，さらには積極的に制御する方法について，これまで種々の手法が提案されている．これらは，局所的に板厚加工を施した素板の適用，可動型との摩擦による超塑性変形部の制御，そして多段階の超塑性成形に大別される．いずれの方法も成形品の板厚分布制御に有効な手法であり，一部は具体的な実用例も報告されている．しかしながら，その適用には精度の高い変形解析技術や素板加工技術が要求され，また制御できる範囲も限られている．そのため，より容易に適用でき，さらに広い範囲を自由に制御できる板犀利御手法の開発が望まれている．