セメント業界における環境問題への取り組み：廃棄物循環システムにおけるセメント産業の技術戦略

摘要

セメント産業の使命は健全な社会資本を構築するための材料を提供することであるが，最近では，循環型社会への貢献も期待されている．昭和50年代から廃タイヤを燃料として利用を開始し，経済産業省の「循環型社会の構築に向けたセメント産業の役割を検討する会報告書」では2010年までに，セメント1t当たり400kgの産業廃棄物の利用を目標とすることが提言されていたが，既に2004年，この目標数値は達成した．さらに，今後も廃棄物のセメント産業への利用は進むものと思われ，循環型社会の構築においてセメント産業が必要不可欠のものとなっている．ここでは，セメント産業における廃棄物·副産物の使用の実態やそのための新たな技術開発の動向およびセメントの品質などと関連して今後検討すべき事項などについて述べる．