展伸材への利用に向けた鋳造用アルミニウム合金の高速双ロールキャストによる高性能化

摘要

近年，環境やエネルギー問題に配慮した輸送機器の軽景化の観点から，アルミニウム合金の使用嵐は増加の一途をたどっている．これに伴い発生するスクラップ量も増加傾向にあり，アルミニウム合金のリサイクルは今や必須事項となっている．アルミニウム合金リサイクルの問題点として，スクラップが様々な合金種で構成されること，あるいはスクラップ中への不純物の混入などが挙げられる．このようなスクラップを再溶解して作製したリサイクル合金は，不純物の混入による機械的特性の低下が避けられない．そのため，アルミニウム合金のリサイクルでほこれまで屈伸材のスクラップが展仲村に生まれ変わる割合は少なく，はとんどが鋳造材やダイカスト材へのダウングレードリサイクルが一般的であった．ところが，今後ますますスクラップ竃が増加していくことや，内燃機関を用いない電気自動車などの普及をも考慮すると，これまでエンジン関係部品に使用されてきた鋳造用及びダイカスト用アルミニウム合金の需要が低下し，これらリサイクル材料の過剰供給となる可能性が考えられる．そこで今後は，屈伸材を展仲村へとリサイクルするのみではなく，現在鋳造用やダイカスト用として使用されているリサイクル合金の延性等を改善することで，展仲材などへと用途を拡大する技術，すなわちアップグレードリサイクルするための技術開発が必要になると考えられる．スクラップ申に混入する不純物で一番悪影響のあるものがFeと言われている，例えば，汎用的な鋳造用合金であるA356は比較的高品質であるが，リサイクル時に不純物?屯が混入するとAl-Fe系やAl-Fe-Si系のいわゆる托系の粗大な化合物が形成し，延性や靭性を低下させる要因となる．このようなFe系化合物を無害化する方法として，Mnなどの元素を添加する方法がある．