片状黒鉛鋳鉄溶接のための共金系溶接材料の検討

摘要

鋳鉄品の欠陥補修や設計変更などには，部分的な補修溶接の適用がしばしば検討される．しかし，鋳鉄は鋼に比して炭素含有量が極めて高いため，溶接施工中の急速な加熱冷却中において，セメンタイトやレデブライトなどの硬化組織の生成（白銑化）や，白銑化に伴う脆化や割れの発生，COガスによるブローホールの発生など，一般的な鋼の溶接とは異なった鋳鉄特有の問題が生ずる．そのため，これらの問題を解決すべく，長年に渡り鋳鉄の溶融溶接に関する研究開発がなされてきたが，未だに難溶接材料とされ，溶接施工を避けた設計の適用や，溶接が困難な場合は大型鋳造品であっても廃棄されているのが現状である．