熱処理した球状黒鉛鋳鉄の疲労限度に及ぼす基地組織と欠陥寸法の影響

摘要

同程度の静的強度を有する熱処理した球状黒鉛鋳鉄について，回転曲げ疲労試験を行い以下のような結果を得た。 （1）QT材に比べ，ADI材の方が高い疲労限度を示した。また，両村共にU材, M材，L材の順で疲労限度は高かった。これはインゴット下部になる程，欠陥寸法が小さくなることが要因である。 （2）（1）式による疲労限度推定値は，両材共に実験結果とは異なり，極めて危険な推定となった。 （3）（2）式による疲労限度推定値は，ADI材では実験結果とよい一致を示したが，QT材のU，M材では危険側の評価となった。これはQT材の場合，U，M材の欠陥寸法が，4パラメータモデルでの領域IIよりも大きいためである。 （4）（5）式によるQT材（U，M材）の疲労限度推定値は，実験結果に対し極端に安全側の評価となった。