セラミックス粉体の合成と各種焼結法を組み合わせた新規モノリシックおよびハイブリッド材料の作製に関する研究

摘要

濃度5～10MのNaOH水溶液中に，アナターゼ微粒子を投入し，高圧オートクレーブにて，水の超臨界条件（375℃/22.5 MPa）近傍で1～2h水熱処理を行い，その後，粉体中のNaイオンのHイオン置換，および400℃で熱処理を行った結果，結晶性が良好なTiO_2（B）単結晶ファイバーが得られた．このファイバーの長軸方向は＜110＞であり，800℃/1hの加熱でもα-TiO_2に相転移せず，熱的に非常に安定で，かつ，電気伝導度は非常に高かった（室温でσ_e=1.2～1.8S·m~(-1)）．この熱的安定性は，出発原料や水熱処理条件の差異にも依存することが分かった．なお，密閉Pt容器を使用しなくても水熱処理できる5MのNaOH水溶液を用いた場合でも，熱的安定性の高いTiO_2（B）粉体が調製可能である．これらの粉体は色素増感太陽電池やLiイオン電池の負極材として有望な材料と思われる．