アモルファスおよび多結晶金属系軟磁性材料の開発

摘要

軟磁性材料は様々な電力機器や電子機器に利用されており，機器類の小型軽量化や省エネ化高感度化など，私たちの生活の利便性向上や地球環境対策などに役立っている。 Fig．1にその代表的な磁気特性を示す。軟磁性材料としては純鉄，珪素鋼（Fe-Si系合金），パーマロイ（Fe-Ni系合金），Fe-Si-Al（センダスト）やフェライト（酸化物系）などが代表的な材料であり，その多くは溶解鋳造や粉末冶金，薄膜プロセスなどの方法で製造され，結晶粒径が数μmから数mm程度の大きさをもつ多結晶体である。 しかし近年になり，液体急冷などの方法で金属溶腸を急速に冷却することにより，結晶組織を有しないアモルファス合金が発明された。 アモルファス合金は結晶構造に起因する結晶磁気異方性をもたないため，優れた軟磁気特性を得やすいことにより1970年代から80年代にかけて世界中で活発な研究がなされた。 その結果，Fe-Si-B系アモルファス合金は高い飽和磁束密度と比較的優れた軟磁気特性を示すことから電力用トランスなどとして，またCo-Fe-Si-B 系アモルファス合金ほ高周波で高い比透磁率や低い磁心損失をもつことから，スイッチング電源等の高周波用磁心材料などとして実用化されている。