強誘電体SrBi_2Ta_2O_9の結晶構造解析と誘電特性，還元劣化機構の解明

摘要

FeRAMデバイスの材料として注目を集めているSrBi_2Ta_2O_9強誘電体酸化物の結晶構造,誘電特性ついて報告した。また，この材料のプロセス耐性について，バルク材料による固体化学的な手法により検討し，還元劣化機構を明らかにした．このような基本特性の解明はデバイス材料の開発にも役立てるこ上ができる．Bi層状酸化物は変位型強誘電体であり，構造の歪みが誘電特性と直接に関わっている．特にべロブスカイト層の歪みは自発分極の大きさやキュリー温度と相関している．デバイス特性向上の一つに大きな残留分極や高いキュリー温度が挙げられるが，SBT系材料ではSr欠損Bi過剰組成やNb置換によって，本質的な構造の歪みを通して特性改善を実現していたことになる由一方，Bi層状酸化物は結晶構造上の特徴により，還元雰囲気に対して本質的に不安定であることも明らかになつた，つまり，この材料ではプロセス劣化に対応するためには材料改良ではなく，耐水素バリアの導入などの付加的な措置が有効であることを示している。