音響計測技術の最新動向：接触式放射音計測方法について＜騒音環境下における微小音圧検出＞

摘要

近年、計算機、プリンタ、コピー機などの導入に伴い、オフィス内には多数の騒音源が存在している。 したがって、静粛な環境の実現のために、作動音が小さい機器の開発が要求されており、その証明としてJIS X 7778およびJIS X 7779による機器の音響パワーレベル等の表示が行われている。 同規格では、機器および部品ごとに多点での音圧レベルを無響室内等において精密に測定するため、専用の測定施設や多チャンネルの計測装置、音源となる部品ごとに動作させる設備等が必要とされる。一方、生産効率の面からは、製品あるいは部品一台毎に異常音を発生する不適合品の精密検査は行えない。そこで、表面音響インテンシティ計測により、機器の放射音を検出すれば、工場やオフィスなどの騒音環境下において、無響室内等の設備を必要とせず、しかも短時間で不適合品の全品検査が行えると考えた。ここでは、より効率的な計測を目的として、圧電型振動加速度計とエレクトレットマイクロホンを一体化し、構造物に接触させるだけで任意の点でのインテンシティ計測が行える押し当て式センサプローブを紹介する。 さらに、機器異常音検査方法の実用化に向けて、空調機騒音などの騒音環境下における計測精度について実験的な検討を行った結果と、その適用例を示す。