震災資料の活用による災害メモリアルと減災の実践

摘要

「阪神·淡路大震災記念人と防災未来センター」は，1995年1月17日に発生した阪神·淡路大震災の記憶と防災·減災を伝える教育施設である．資料部門においては，被災地で収集·保存してきた多様な媒体の「震災資料」約19万点の利活用を検討し，特別展示の企画や教育普及事業を実施している．資料室の保存する震災資料は，「一次資料」（震災に直接関連する資料）と「二次資料」（図書·刊行物）に分類される．一次資料は，2002年4月の人と防災未来センター開館以前の事業で収集されてきた約16万点の資料と，開館後の調査·収集活動によって集められた資料からなる．本稿は，震災資料から得られる知見を活かした災害メモリアルと減災の実践について，近年の展示，資料集の編纂，教育普及事業を事例に紹介する．