セラミックス博物館（1）/陶磁の起源

摘要

陶磁器の博物館は世界中に多数あり，古代文明から近代美術に至るまで，様々な主題を掲げて人を招いている。例えば，エジプト，黄河域，古代日本，エトルリア，ペルシャの発掘品，次の時代の中国，朝鮮の青磁，白磁，日本の六古窯，近世の乾山，仁清，楽茶碗，マイセンなどの欧州磁器，最近の魯山人，寛次郎，等々話題に事欠かない。 然し，当館の目的は単なる陶磁の歴史や芸術の紹介ではない。 陶磁器は苦から日常的に使われ飾られ近代文明に入ると，電気の使用に不可欠な絶縁碍子，身近なタイルや衛生陶器から，強度材，耐熱材，半導体，超伝導体などのセラミックスとよばれる科学·技術の分野を生じ，最早，「陶磁」という言葉では表現し切れない新材料，未来材料的様相を帯びている。当博物館は陶磁器の歴史や美術にも触れるが，陶磁の化学や物理の解説から，現代，未来の新材料に至るまでの展示，説明もするという一貫した目標を持っているので，それに相応する看板を掲げなければなるまい。以下にそれを考えて見よう。