27{sup left}Al MQMASおよび1{sup left}H→27{sup left}Al CP/MQMAS NMR法による石炭中の無機成分の化学構造解析

摘要

石炭中の無機物質は一般に鉱物質と考えられており，石炭の工業的な利用の面では従来は脇役であった。 しかし最近の事前処理による無機鉱物成分の除去を狙った石炭の有効利用促進等，石炭中の無機成分の重要性が高まっており，特に正確な化学構造情報が必要となりつつある。正確な無機成分の化学構造情報が得られれば，新たな無機成分除去法や利用法の展開が可能になると思われるが，従来，石炭中の無機成分は原子吸光法や蛍光X線（XRF）による成分（組成）分析が中心であった。 無機成分の構造解析手法としては，これまでにX線回折（XRD）法が一般的であり，石炭熱分解後のAsh成分のキャラクタリゼーションや，低温酸化後の無機質の鉱物層の決定等，幅広く用いられてきている。しかしながら，XRDでは有機成分と無機成分の両方の構造情報が一つのチャート上に示されるため，無機成分のみの構造情報を抽出することは不可能であり，Fig.1に示すように，場合によっては回折線が複雑に重なり合い，正確な構造情報の取得が困難となる。 また，XRDは非晶質な化合物に対しては，回折線が極端に広幅化することから，石炭中に非晶質な無機成分が存在する場合，その構造解析は非常に困難となる。