~（27）Al MQMAS, ~(29)Si CP/MAS NMRによる石炭中の無機成分の化学構造解析

摘要

石炭中の無機物質は一般に鉱物質と考えられており、石炭の工業的な利用の面では従来は脇役であった。 しかし最近の事前処理による無機鉱物成分の除去を狙った石炭の有効利用促進等、石炭中の無機成分の重要性が高まっており、特に正確な化学構造情報が必要となりつつある。無機成分の構造解析手法としてはXRD法が一般的であるが、無機成分のみの構造情報を抽出することは不可能であり、場合によっては回折線が複雑に重なり合い、正確な構造情報の取得が困難となる0また、石炭中に非晶質な無機成分が存在する場合、その構造解析は非常に困難であるという問題があった。 我々は、元素別の局所情報が得られ、結晶性の低い化合物に対しても有効であるNMR法を用いて石炭中の無機成分の主成分であるAl, Siの構造解析を実施している。 特に~(27)Alは四極子核であり、高磁場下での測定が有効であると考えられることから、今回16.3Tでの測定を行った結果、詳細な構造情報が得られたので報告する。