高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ変形中におけるミクロ組織変化に及ぼすBの影響

摘要

超々臨界庄（Ultra Super Critical: USC）発電プラントに対応した蒸気タービンロータ用材料として開発され，高温クリープ強度を大幅に改善した12％Cr系耐熱鋼には，合金元素としてBが数10～100ppm程度添加されているが，フェライト系耐熱鋼のクリープ強化に及ぼすBの影響についてはいまだ不明な点が多い。 Takahashiらは，B添加でクリープ強度が著しく向上されること，BはM{sub}23(C,B){sub}6として析出しクリープ試験中の炭化物の粗大化が抑えられること，および粒界近傍の無析出物帯が狭いことを報告した。また，LundinらあるいはHattestrandらは，高解像度の分析機器であるAPFIM (Atom Probe Field Ion Microscopy) を用いて，10～20ppmのBを含有する高Crフェライト鋼のM{sub}23C{sub}6中に添加したBの50～70％が含有されることを明らかにした。 また，筆者らは，焼入れを模擬した昇温過程でのオーステナイト結晶粒の成長特性から，オーステナイト域におけるM{sub}23C{sub}6および（Nb，V）Cの安定化にB添加が寄与することを報告した。