高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ変形車におけるミクロ組織変化に及ぼすBの影響

摘要

クリープ変形に伴う組織変化に及ぼすBの影響を検討することを目的として，クリープ途中止め試験を行い，クリープ変形過程における析出物，ミクロ組織の変化について観察し，析出物の安定性の観点から検討を実施し，以下の結論を得た。 （1）B含有量の増加とともにクリープ変形が抑えられクリープ速度の低下，定常クリープ域の増加により,リープ強化される。 （2）B無添加鋼では，クリープ変形途中からマルチシサイトラス巾の増恥サブグレインの生成による組離が進行し，クリープ破断時には均一な等軸サブグレイン織となる。 （3）一方，140ppmB添加鋼では，定常クリープ御にグレインは生成されず，クリープ破断時に旧オステナイト粒界においてサブグレインが生成されることによる局所回復が認められるものの，粒内ではマルチンサイトラス組織が維持される。 B添加により析出物の種類は変化せず，詞質ままでM_(23)C_6が，クリプの進行とともにさらにLaves相が析出所る。 （5）Bの添加によって，MXの微細化が促進され，Laves相の凝集粗大化が抑制されるニとが確かめら（6）クリープ中断材における平行部の硬さ測定の結果とクリプ歪み一時間曲線とは良好な対応が認められ，初期クリ－プ域と三次クリープ城といった歪み速度の速い領御ニおいて著しい軟化が認められる。 ただ，140ppmB添加鋼の三次クリープ城において平行部の硬さの低下が認めうれいのは，局所回復による破断のためである。（7）Bの添加は，MXを微細化する効果，およびM_(23)C_6，laves相の粗大化を抑制する効果を有し，焼戻しマルテンサイト組織の回復を抑制させることでクリープ強化に寄与する。 　 なお，本報告の供試材は（株）東芝との共研開発材をへス組成としたものであり，（株）東芝に謝意を表する。