つくばサイエンスアカデミーシリーズ：微小化学分析システム

摘要

μTASとは，ポンプやバルブ，センサなどを小型化し集積化したデバイスであり，さまざまな化学分析において技術革新をもたらすとして注目されている。このシステムでは，樹脂やガラスなどの小さなチップ上にマイクロメートルサイズの微小流路をつくり，その空間を化学·生化学反応の場として用いる。現在では，その適用範囲はさらに拡大しており，医療や創薬をはじめ，環境，食品，生物化学テロ対策，在宅診断などの幅広い分野で応用が期待されている。しかし一方で，事業の成り立つ大きな市場がなかなか見当たらずμTASの研究は製品化のカベに当たり，岐路に立たされているともいわれている。巨大な潜在的市場が期待され，パーツとなる基礎技術はさまざまなものが報告されている中で，欠けているものは一体何なのか。この分野の起爆剤には，どのような技術が必要なのだろうか。われわれはその答えの1つとして，特定の目的に特殊化しない汎用的なデバイスの開発を進めている。