高機能化と低環境負荷に対応する最新塗料：建築物外壁用光触媒着色塗料

摘要

光触媒の超親水性を生かし外壁の防汚を狙いとした着色塗料「ハイドロテクトカラーコート」が発売されて1年半が経過し，着実に施工実績が増えてきた．その効果について述べる．光触媒を無機系のバインダーに添加して，外壁に塗布しておくと，その優れた防汚性能に驚かされる．光触媒は光が当たると水との接触角がほとんど「0°」になる超親水性を示し，雨水が汚れと塗膜面の間に強力に侵入して汚れを浮かし，流し去るからである．しかしながら，超親水性だけではこの防汚性能を維持することはできない．光触媒の有機物分解性も重要な役割をもっている．汚れの種類は多岐にわたっており，オイルなどの粘着性のある汚れが一度付着すると，表面の原子レベルの現象である超親水現象が阻害されてしまうからである．光触媒は有機物分解性をもっでいるので，こうした汚れを分解し，紫外線が当たりさえすれば常に初期の超親水面を回復する力をもっている．