続·材料トラブル調査ファイル ファイル(22) 筆記用具に使用されている熱可塑性エラストマーのネズミ害

摘要

ゴム弾性を顕著に示す高分子材料をエラストマーという。 熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示すが、ある一定温度以上の高温では塑性変形が可能な性質をもつ。 一般にはTPE (Thermoplastic Elastomer)と呼ばれており、以後このように略記する。 通常の加硫ゴムは、硫黄や過酸化物による架橋反応を生じさせ、ゴム弾性を付与する。 しかしTPEは、架橋反応なしでゴムと同じ性質を保持させる有機材料で、いわばゴムとプラスチックの両方の性質をもっていると言える。 熱可塑性プラスチックと同じ熱挙動を示し、プラスチック成形加工機での成形が手軽にできるので、成形コストの削減にも結びつく。 特にリサイクルではゴムに比べて優位性がある。 一般のゴムは、熱をかけても溶けないため冷凍粉砕にてゴム粉にし、これをほかのバージンゴムに添加するなどの方法を取るが、TPEはPETボトルのように単に溶融すればよく、ゴムというよりは弾性をもつプラスチックというべきかもしれない。