AEを用いた円筒タンク底板腐食位置の標定

摘要

今回は，ナフサを貯蔵する5,000kl円筒タンク（直径20m）に対して，底板と側壁に設置したセンサ出力からノイズによる信号を除いた有意な信号に対して，色々な方法で音源位置を標定し，標定の確かさ（確度）すなわち“ここにAEを発生している錆があるはずである”という的確な情報を得ることを目的とした。位置標定の“確度”よりも大事なことは位置標定の“精度”である。しかし液体貯蔵タンクの底板に人工音源を与えることはできないので，標定精度を議論することはできない。 すなわち，供用中タンクのAEモニタリングにおいては，音源が存在すべきであろうという確率の高さを調べること以外のことは可能ではない。 確率の高低は，超音波肉厚計などによる残存肉厚との相関をもって議論することができるが，錆破壊頻度（AE頻度）と減肉量は必ずしも直接的相関を持たないという問題がある。 すなわち，位置標定や確度の正解は供用中は得られないので，定量性に欠けた内容にならざるを得ないが，これまでAE音源位置標定法の詳細について議論されたことは少ないので，結果を紹介する。