標準化戦略と産業発展：自転車産業のケース

摘要

約100年前ドイツやフランスの自転車産業は，英国に対抗するため新鋭装置の導入のほかに自転車や部品の標準化を行い，1890年代には米国の産業とともに，貿易では勝利をおさめた。対抗する英国も同じ戦略をとり，20世紀前半にカムバックして以降，その後は長い間，日本が1960年代に挑戦するまで，自転車の世界貿易を支配した。 日本は体系的な標準戦略をJIS制度のもとに採用し，1960年代後半から1970年代にわたり，品質と価格で世界を支配した。その標準化戦略の歴史を以下に，①JIS制度ができるまでの過去の遺産，②JIS規格作り，③認証制度の確立，最後に④評価を踏まえた現代的意義を見てみる。