連載品質工学の研究事例の進展-第25回MTシステムによる射出成形品の均一充填性評価 偏光透過光を特性とした充填性の評価

摘要

近年，技術革新による製品の高精度化?多機能化?小型化に伴い，部品などで用いられる樹脂製 品についても一層の精密化が求められている。樹脂を用いた精密部品の代表としてマイクロレンズ などが挙げられ，それらの製造に用いられる精密成形技術では，μmレベル以下の寸法に間する超 精密加工の技術研究がされている。しかし樹脂の充填ムラなど内部状態についての評価技術が検討 課題となっている。品質工学の立場では，「射出成形の基本機能は金型と相似の成形品をつくるこ と，すなわち転写性である」という考えから，成形品の寸法転写性の研究などが行われているが， 転写性の本質は樹脂の均一充填であることから，この立場において新たな観点から検討を行うこと にした。すなわち，本研究では，光学製品など透明樹脂製品を想定し，その透過性を一種の濃度パ ターンとして捉え，光学透過性のばらつき改善を，直交表実験とマハラノビスの距離を用いたMT システムを対応させることで，充填ムラについて検出感度の高い精密な内部評価と成形条件の制御 を行うことを目的としたしまた1方向のみの光を通す偏光板の性質を利用することで，より検出 感度の高い評価法の構築が可能となったので結果を報告する。