製品開発における上流設計の重要性とその方法

摘要

設計とは，ある目的を具体化するための作業であり，その具体化作業の結果を図面などで明示することである。この作業は工学的に行われる部分と，非工学的に行われる部分がある。 工学的に行われる部分は一般には形式知と呼ばれているものであり，非工学的に行われる部分は暗黙知と呼ばれている。 できるだけ形式知化することが望ましいが，設計が本来，人を中心とした行為であることを考えると，ある程度の暗黙知の部分が残ることは必然の理である。 したがって，設計においては，人が暗黙知的に決定する行為を可能なかぎり形式知化した設計情報で支援するのが現実的であり，最善といえる。 設計の歴史をひもとくと，約20万年前の狩猟用の矢じりに始まるといわれる。 それまでは，その辺りにある石などをそのまま使っていたのに対し，目標とする形状に向けて，石，骨などの原材料を道具で加工したのである。ピラミッドなどもスケールの差はあるが同様である。 一方，ガリレオの時代になると設計を工学的に考えるようになり，この流れが現代にまでつながっている。