デクスメデトミジンによる鎮静下の非侵襲的陽圧換気療法が奏効した慢性閉塞性肺疾患増悪の1例

摘要

症例は70歳，男性，慢性閉塞性肺疾患（COPD)の増悪，肺炎，心不全のため入院.5L/min酸素 下でPa02 94.7 Torr, PaC0_2 78.0 Torr, pH 7.226の呼吸性アシドーシス，C0_2ナルコ一シスを認めた.非 侵襲的陽圧換気（noninvasive positive pressure ventilation ： NPPV)開始直後から興奮により治療継続が 困難となったが，デクスメデ卜ミジン（dexmedetomidine)の投与により呼吸抑制を認めず良好な鎮静効 果を得て，NPPV管理に成功した.一般にNPPV療法下のCOPD例に対する鎮静薬の使用は呼吸抑制の危 険を伴う.デクスメデ卜ミジンには呼吸抑制作用が少ない特徴があり，興奮やせん妄によりNPPV療法に 非協力的となったCOPDの増悪例に使用する鎮静薬として，有用な可能性がある.