表面機能解析研究分野

摘要

本研究分野では、電子顕微鏡法を基盤とした物質の局所領域の結晶構造·電子構造の解析手法の開発とその物性物理学への応用を行っている。2003年の研究活動としては、以下のように概括される。電子顕微鏡を用いて特定したナノスケール領域の価電子の電子状態を明らかにするための軟茶線発光分光装置の開発を進めている。 昨年のVer.IIをさらに発展させたVer.IIIの設計·製作をおこなった。 新しい分光系の設計は、日本原子力研究所関西研究所の小池博士との協力研究として行った。 分光器本体の設計·製作は本研究所の技術室で行った。 完成した分器の外観写真を右図に示す。この分光器には、検出効率を向上させるために新規に作製したX-ray集光ミラーを装著してある。 これにより4.4倍の検出効率を実現した。 この分光器では1000eVで0.7eV/CCD ch，のエネルギー分散が得られる。 CuのL発光スペクトルを測定した結果、従来の電子顕微鏡用X線分光器ではLα線とLβ線の分離ができていなかったが、それらを明瞭に分離しただけではなく、これまで検出できていなかったLηとLlの発光ピークの測定に成功した。