わが国化学企業の経営改造の総括求められる「魂の入つた経営」への転換

摘要

1997年のアジア通貨危機に端を発したアジアの石油化学製品市場の混乱は，わが国の総合化学·合繊業界の業績を著しく悪化させた。 1990年代を通じて中国の輸入が拡大する中で，輸出依存の傾向を強めていた合成樹脂事業は低迷し，また内外価格差の是正に迫られた合成繊維事業は完全に国際競争力を喪失した。こうした業績の悪化に対して，各社は「選択と集中」を合言葉とした事業構造の改革と，コーポレートガバナンスの徹底などを狙ったマネジメントシステムの改革という2つの側面からの「経営改革」を実施している。