特石法廃止12年目の現実激動の1年、一変した経営環境

摘要

2008年は原油と石油製品の価格暴騰·暴落劇によって石油産業の経営環境ががらりと変わった1年であった。 原油と製品が史上最高値に跳ね上がって石油製品の内需減退が加速、値段が下落に転じても内需は元に戻らず、内需減退が構造的な色合いを深めている。 この結果、需給が緩和し、精製設備やSSなどの余剰感が顕在化しつつある。 価格上昇局面では、原油価格に製品価格が素早く連動する海外市場は原油コスト負担増の転嫁が進まない日本市場より製品価格が割高に推移していたため、製品輸出が好調に拡大したものの、原油価格の下落で内外の価格差が縮小、これまでのように製品輸出に需給調整を期待できない。 激しく乱高下する原油価格と製品価格のタイムギャップ解消ため、10月から新日本石油と出光興産、11月からジャパンエナジーが卸改定方式をコスト連動から市場連動に代え、改定間隔も過決めに短縮した。 他の元売もほとんどが市場連動移行を検討中とみられ、外資系のエクソンモービルは年明け早々にも改定間隔を日決めとする構えなので、国内製品価格の形成は完全に国際化し、日本の石油精製業も国際的に太刀打ちできるコスト競争力強化が避けられない。 特石法廃止によって石油製品輸出入が解禁され、国内石油産業が国際化·自由化に跨み切ってから12年、石油精製業は再編·合理化を徹底して競争力の強化に取り組んできた。 だが、今年は経営環境の激変により石油市場の国際化が一気に進み、対応を求められているのが特石法廃止12年日の現実である。