梁端下フランジに鋼材ダンパーを設置したダイナフレーム制振構造の開発

摘要

建築構造の世界では, 地震に強い損傷制御構造の考え方が普及しています。 特に阪神淡路大震災以降，地震による建物の損像, 倒壊は人命を失うだけでなく, 建物の財産損失，建物の無機能状態等の地震リスクが認知されてきました。 この損傷制御構造は，"アンボンドブレース"等の制振ダンパーを建物に配置し, 建物を支える骨組と地震の揺れ＝地震エネルギーを吸収する骨組とに分けることで耐震性能が高い制張構造の建物にすることです。 特に, 地震の揺れは制振ダンパーによって減衰させることが特徴です。従来構造の建物は, 主に柱一梁接合部の梁の端部を先行させて損傷（塑性化）するように設計しており，大地震後は柱一梁接合部で破断していることが多く確認され, 当時の溶接の品質管理に対して不十分であったことも指摘されています（図1参照）。 また損傷制御構造においても, 最終的には梁端を始めに塑性化させているので，地震によって建物が無損傷になっているわけではありません。このようにどうしても損傷してしまう梁端にダンパーを配置することによって，より効率的に, かつ効果的に構造物の損傷を防ぎ，地震の揺れを抑えるのがダイナフレームです。