新しいトンネル覆工背面充塡工法アクアグラウト工法の概要と実施工例

摘要

トンネル工法の一つであるNATMが導入された1970年代後半以前に建設されたトンネルは，建設当時の施工法や地質などの理由により，天端を中心としたトンネル覆工の背面に空隙が存在する場合がある。この空隙を放置すると，地震や塑性庄などの外力を受けた場合，覆工コンクリートにひび割れを誘発したり，コンクリートの剥落を招いたり，トンネルの構造安定性を低下させることがある。 既設トンネルの安定性を向上させるためには，このような空隙を確実に充塡することが，非常に重要となる。 従来の裏込め充塡材料としては，エアミルク·エアモルタルなどのセメント系充塡材，ウレタン樹脂といったものが用いられてきた。これらの材料は，充塡材が注入時に側方に流れて所定の空洞への充塡が困難であったり，材料コストが高すぎるなどの欠点がある。 これらの欠点を解決するために，新充塡材料の開発が必要と考えられた。 そこで，経済性と高品質を兼ね備えた裏込め充塡材料を新たに製造することを実験·検討した。