脂肪注入を施行した片側の顔面陥凹変形の3症例

摘要

顔面の萎縮や先天性の成長障害を伴う疾患に対する治療の1つに，脂肪注入移植術がある。我々もこのような患者数人に脂肪注入術を行い，約1年経過を追うことができた患者3名につき報 告する。2名は限局性強皮症,症例3はhemifacial microsomiaの診断であつた。結果として，移植 脂肪の生着に関しては個人差がみられたが，概ね良好であった。Hemifacial microsomiaの症例で は，患者の体重の増加と共に移植部の増大がみられた。また，萎縮した皮膚に色素沈着のみられ た限局性強皮症の患者で，術後，色素沈着の改善がみられた。さらに，吸引した脂肪よりもメスで 採取して細片化した脂肪の方が，生着が良好である印象であつた。