各論尿禁制早期回復 RALPで注意すべき解剖学的ポイン卜と手術操作

摘要

前立腺癌に対する手術治療後の尿失禁は患者QOLを著しく低下させる深刻な問題である。前立 腺全摘除後の尿失禁発生の機序は完全には解明さ れていないが，前立腺摘除により生ずる機能的お よび解剖学的変化が尿道括約筋および骨盤底筋群 の尿禁制能に影響すると考えられている。ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP) は，腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)の難点であ る鉗子操作における制限を著しく改善し，術者の 手術手技が安定した。また，3次元の拡大画像に より前立腺周囲の微細な組織構築が認識可能と なった。これらにより低侵襲性を維持しつつ，癌 制御では開腹前立腺全摘除術（RRP)やLRPに比 較しほぼ同等，術後尿禁制や男性機能など のQOL因子は有意に早期に回復すると報告されている.