ERCP後膵炎に対するメシル酸ナファモスタツトの予防的投与

摘要

要約：膵炎はERCPにおいて最も頻度の高い偶発症であり致命的となることもあるため，そ の予防のためにさまざまな試みが行われている。中でも予防的薬物投与に関しては多くの検討 報告が行われているが,有効性に関してはcontroversialである。近年メシル酸ナファモス タツ卜の予防的投与に関するRCTが3編報告され，いずれもメシル酸ナファモスタツ卜の投 与は有意にERCP後膵炎の発生頻度を低下させていた。しかし，サブグループ解析において はいずれの報告も，低リスク群ではメシル酸ナファモスタツ卜の投与が有意に膵炎の発生を低 下させていたものの,高リスク群では有意差を認めなかった。メシル酸ナファモスタツ卜の投 与はERCP後膵炎の予防に部分的には有効である可能性が示唆されるが,いずれの報告も単 独施設による研究であるため,大規模なRCTによる検討が必要と思われる。