膵癌の外科治療：術式選択と周術期管理のェビデンス

摘要

膵癌診療ガイドラインではStagelVaまでの膵癌には根治をめざした手術切除療法を行 うことが推奨されている。膵癌の治療成績向上のための手術手技の改善は重要である。膵癌手 術においてR0手術が予後延長のために重要であり，R0のための門脈合併切除は適応である。 しかし，拡大郭清は予後に貢献しないだけでなく，術後合併症を増加させる傾向にあり，膵癌 における拡大郭清は否定されている。また，膵頭部癌において胃浸潤や幽門輪付近のリンパ節 転移がない症例では胃を温存しても根治性は損なわれない。周術期管理において，術前胆道ド レナージが必要な場合は胆管炎を起こさないことが術後合併症を増加させないために肝要であ る。そして，膵切除術時においてドレーンを挿入することは術後合併症および術死を減少させ るために必、要であるが，ドレーンの早期抜去が術後感染症防止のために重要である。