血中IgG4値によるIgG4関連硬化性胆管炎の診断能

摘要

IgG4関連硬化性胆管炎は，下部胆管狭窄例では臈臓癌との鑑別が，肝門部から肝内胆 管狭窄例では原発性硬化性胆管炎(PSC)と肝門部胆管癌との鑑別が問題となる。IgG4関連 硬化性胆管炎では，血中IgG4値の上昇を高頻度に認め，自験IgG4関連硬化性胆管炎54例 における血中IgG4値の陽性率は81%で，肝門部胆管に狭窄を有する7例の血中IgG4値は平 均732±422 mg/dlで，下部胆管狭窄のみの47例（平均429+-503 mg/dl)より高値であった(p く0.05)。また，血中IgG4値の上昇を，臈臓癌116例中5例(4%),胆管癌34例中2例(6%) に認めた。PSCでも血中IgG4の上昇が5~36%に認められると報告されている。血中IgG4 値は，IgG4関連硬化性胆管炎の診断に有用であるが，血中IgG4値の上昇のみから本症を診 断することはできず，画像診断などを含めた総合的診断が必要である。