脳外科疾患と脳波6.脳外科疾患における臨床症状と脳波

摘要

連続する79例の脳神経疾患患者から術前·術中·術後の脳波を測定し,脳波所見と臨床症状との関連を検討した.①術前後のてんかん発作は25%に出現し.発作に対する棘波出現の感度は60%であった.②術中皮質脳波を頭皮脳波と比べると,棘波出現の感度は3倍であった.③脳機能低下所見としてα波の左右差を33%に,delta波の出現を36%に認めた.④α波の左右差は,片麻痺より意識障害を呈することの方が多いが有意差は見られなかった(50%と62%).⑤delta波が見られると意識障害もしくは片麻痺を示す割合は,ともに同程度であった(61%と57%).⑥脳波は非侵襲的な機能検査であり繰り返し検査が可能なので,患者の症状と病態の経過を観察する上で非常に重要な検査である.