膵頭十二指腸切除後の難治性膵液瘻に対し消化管内視鏡と瘻孔内視鏡を併用した非観血的内瘻術が有効であった1例

摘要

膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻は重篤な合併症であり治療に難渋することがある。今回われわれは膵頭十二指腸切除後の難治性膵液瘇に対し上部消化管内視鏡補助下の非観血的内瘻術が有効であった1例を経験したので報告する。症例は62歳の男性，十二指腸癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した。術後45日目に膵管チューブを抜去したところ膵空腸吻合部より膵液瘻を認めるようになった。瘻孔造影では主膵管のみが造影され吻合部対側空腸は全く造影されない完全膵液外瘻であり，絶食ゃソマ卜スタチンアナログの投与など保存的治療を行うも効果はなく膵液瘻は遷延した。そこで対側空腸（輸入脚）へ挿入した上部消化管内視鏡で観察しながら瘼孔から胆道鏡を対側空腸内に穿通させ膵液の空腸への流出路を確保し，ガイドヮィヤー操作にて瘇孔から膵管ステントを挿入し内瘼化を行った。膵液瘻は速やかに改善し，内瘻化後20日目に自宅退院となった。