非線形3コンパートメントモデルによる~(99m)Tc-GSA受容体量の推定-採血を要さない受容体結合型モデルー

摘要

肝の~(99m)Tc-GSA(galactosyl serum albumin)受容体量を,採血を要さない受容体結合型の非線形3コンパートメントモデルから求めた.結合定数ならびに受容体量をいずれも変数とし,各係数を算出した.対象は肝切除を前提した腫瘍性肝疾患43症例で,求められた受容体量と既存のGSAパラメータおよびICGR__15との関係を検討した.術前のGSA受容体量(Ro)と他の指標との直線相関は, HH15との間ではR~2=0,73, LHL15との間ではR~2=0.72であった.最大除去率RmaxとはR~2=0.84の良好な直線関係を示すが,y=0.038x+0.066でやや原点を外れる. ICGR_15との関係は下に凹の曲線的なものであり,直線相関はR~2=0.39であった.手術後2週目に~(99m)Tc-GSA検査とCTが同一日に施行できた症例で,術前に対するCT上計測された非癌部の容積減少率とRoの低下率の関係は,y=1.09x-0.01 (R~2=0.82)の良好な直線関係を示した.本法で求められたGSA受容体量(Ro)は,術前後の非腫瘍部の体積に比例して変化するもので, ICGR_15を補完する直観的な指標として,肝切除に有用な目安を与えることが期待された.