~(131)I大量投与時の過剰被曝回避についての考察：特に排尿頻度の意義について

摘要

転移性甲状腺癌の~(131)I治療では1回に3．7GBq（100mCi）あるいはそれ以上が投与され，複数回繰り返し行われるのが一般的である．したがって不必要こな被曝は可能な限り低く抑える努力が要求される．投与された~(131)Iの主たる排泄経路は尿路系であり，一時的にせよ高濃度の~(131)I含有尿が膀胱に貯溜する．そこでまず最初にわれわれは，~(131)I大量投与後の血中の残留放射能の推移についてひとつのモデルを考え，ふたつの排尿様式（様式A：2時間ごと排尿6回につづいて6時間ごと排尿2回と，様式B：6時間ごと排尿4回）での膀胱内貯溜尿からの膀胱壁，子宮，卵巣，精巣，および全身の被曝線量の違いを検討した．結果は，様式Bの場合はいずれの臓器でもまた全身でも，様式Aのほぼ倍の線量が膀胱内の尿からかかることが判明した．本研究は，従来の排尿の必要性についての漠然とした概念に数値的な裏付けを与えるものである．